前作「太陽の塔」から約4年ぶりとなったミニアルバム「野中の薔薇」。

この4年のこと、そしてscopeの音楽の変化や新曲にこめた思いなどを
長谷山豪氏に語ってもらいました。

● 前作から約4年という時間を経ての今作。(「自由が丘」「太陽の塔」のスパンは約1年)
「太陽の塔」が出てから現在まで、scopeとしてはどんな活動をしていたのですか?

scopeとしてはそれまでの活動のペースよりもライブの本数もグッと減らして
自分一人での新曲のデモ作りに時間を使うようになってました。

太陽の塔まではそれまでやってきた「scope」っていうモノを
強く意識しながらscope自身の音楽をやっていたのですが
自分が聴きたいと思う音楽、好きな音楽を素直に反映させてみようと
その新しい形の模索に結果かなりの時間を使ってました。

特にレコーディングでの歌入れ用の歌い方っていうのは
目の前にいる人に空気をそのまま震わせて伝えるライブとはやはり違うので
デモを作りながら、新しく反映させる音楽にマッチングした歌い方を探して、
それに変化を持たせる作業、確認を繰り返していました。

●その間、定期的に新曲は作っていた?

かなり模索をしながら、自分の得意パターン、手クセの様な作曲から離れる作業をしてたので
定期的にという形には至らなかったのが実際ですが
デモ状態にアレンジしてある今回CDに入れなかった曲がかなりあります。

次回のCDに入れたいと思う曲もその中にはあります。

● この数年は、若手のバンドのプロデュースもしていたとか?(またそれはどんな経験だった?)

プロデュース、ディレクションをさせてもらってたアーティストの中でも、
ammoflight、リアクション ザ ブッタ はアレンジやコードワーク、音作りに至るまでを
一緒に作り出す作業をさせてもらったりできていたので
気持ち的には+1のメンバーとして参加させてもらってる気持ちでやってました。

その中でメンバーとして口を出す的な役割でいようと。
でも、そういう意識でやっていたので自分の中での正解があってもすべてを通そうとは思わないし、
その時々に主張がある人の意見を一番重要に感じながらじっくりやらせてもらってました。
時間がない時はそうはいかないけどね、出来る限り。

ammoflightの時にはヨッキー(横山裕章)、リアクション ザ ブッタの時にはフッキー(吹野クワガタ)に
鍵盤を入れてもらったりして、scopeとしてじゃなくても一緒にできて楽しかったです。

● 今回のアルバム、出来上がっての今の気持ちは?

気がつくと前作から間が空いてたなと。
聴いてくれた方みなさんに「いいでしょう?」って聞きたい。

● ライブでは、初期の曲も演奏することがあるscope。

そんな中でも、scopeとしてのサウンドの変化は、今回のミニアルバムに現れていますか?
ライブでやる初期の曲の中でもピアノ、アコギが似合う曲を多くやってる気がするし、
今回のミニアルバムにもやはり同じ方向性を感じる。

元から好きだったものを素直に出すようになってきたという
原点回帰的な変化をしてきてる気がする。

● 今回のアルバム参加している、サポートメンバーについて教えてください。
またそれぞれのレコーディングはどうでしたか?

畑利樹(Drum)…
今回のレコーディングはみんなで「せーの」ってできるような良い環境ではなく、
僕の仮歌、仮ギター、クリック等に合わせて録るっていうのもあって
僕の仮ギター、仮歌へのダメ出しが多くて困った。(データ書き出しミスと噂)
デモを作り込まななかった「ちぐはぐ」、「野ばら」の対応力にはもうね、すごいねと。

栗田伸広(Bass)
サッカーでいうところのボランチ的な能力がこの栗田君にはありまして、
栗田君なしにはレコーディングはおろか、scope自体、僕自体が進まないくらいな
キーパーソンな訳です。

現在でいうところの長谷部的なキャプテン感のある人間なんですね。
レコーディング作業内でもなんだけど、
もちろん何よりもそのプレイ内でとてもいい位置を行ったり来たりする。
なんだろうね、これ。

8への純な愛情だけでは語れないものがあると思うんだな。

岩田竹史(Guitar)

感覚勝負にみえて、実はちゃんと考えまくる努力家タイプなので
とても心強かったです。

僕からの急遽の変更には意味不明感を覚えながらやってたはず。
けど、二人であーじゃない、こーじゃない言いながらなんとか探し出した成果は
でてるんじゃないかなぁと思います。

毎回覚悟はしてみてるんだけど、「あんまり歪ませないのね」って
そこに毎回ビックリした。

横山裕章(Key)

フリーな状態で楽しそうだなと今回のCDを自分が聴く時には思っちゃてるけど、
思い返すと録る時には細かいお願いして取り組んでもらってたんだよね。

結果、要求以上の個性的なプレイで返してくれちゃうという繰り返しで
とっても印象的なフレーズが盛りだくさん。

気持ち良さそうに弾いてる絵が浮かぶからすごいなぁ。

吹野クワガタ(Key)

scopeのレコーディングを一緒にやるのは初なんだけど
何度か他のアーティストのレコーディングで一緒にやらせてもらった事もあって、
言葉から感じ取ってもらう反応速度がとても早く正確でとっても助かった。

フレージングはセンチメンタルな部分と
「意外と攻めるのねフッキー」って部分とのメリハリがあって気持ちいい。

色々とニュアンスで要求しちゃう事に対して真剣に耳を傾けて取り組んでくれる上に
良い音楽を作ろうっていう姿勢が音にも出ててホント素敵です。

● アルバムタイトルを「野中の薔薇」にしたのは?

ずっと「○○の○○」みたいな言葉を日常的に探している僕ですが
なかなかしっくりくるものがなかったんですね。

で、レコーディング前日に急遽入れる事にした曲の歌詞を書こうと思った時に
色々試行錯誤した上、最終的に「野ばら」ってタイトルになって、
で、「野ばら…野ばら…野中の薔薇」だなと。

「野ばら」と「野中の薔薇」では意味、物が違うけど。そこはまぁね。

良い音楽は色々な中に紛れて、隠れてだけどちゃんと存在してるんだよね、
それこそ「野中の薔薇」のように。

そんな一枚をこの音源で「見つけた!」と思ってくれるといいなという願いも込めて。

●これまで全ての曲の詞曲を手がけてきましたが、初めて「ちぐはぐ」という曲で
 歌詞を提供してもらっています。このいきさつは?

biniouさんというバンドが僕は大好きで、Vo青木千春さんの歌も歌詞も大好きで
ギター弾かせてもらえないかと聞いてみちゃった事もあったし(笑)

先に言った通りscopeの新しい形を試行錯誤していた僕は
それまでのscopeの歌詞が恋愛もの方向に偏らせていたのもあって
歌詞っていうものにも違うニュアンス、風というか、
変化を加えて行きたいなと思っていたのです。

音楽の専門学校に入る時には作曲のみに特化して自分を磨きたいなと思って入ったのもあって、
scopeだけど、歌詞を書いてもらって曲を作ってみたいなと極自然に考えるようになって
頭の中で膨らませていった所、「千春さんの歌詞でならscopeの曲が書ける!」と固まってしまって
思い切って、おちょこの裏くらいの大きさしかない勇気を振り絞って
メールをしてみた次第であります。

快く受けて下さって、後日、歌詞を賜った所存であります。
さすがの千春さんですので、完成された歌詞は
すぐにメロディーを呼び込んでくれまして、あっという間に一つの曲となりました。

すごいなぁって思いました、やっぱり。
で、大正解だったなと。

感謝しかありません!ありがとうございます!
私、幸せです。

ニューミニアルバム「野中の薔薇」の全5曲について、一曲ずつ<全曲解説>!

● M1「野ばら」

工場で言う所の製造工程に問題ありな一曲です。
完成系の図は僕の頭の中にあるけど設計図はないという状況の中、
いきなりレコーディング日のラスト20分で
ドラム、ベースを録りました。

とにかく何を作らされているのかという中で、時間もない中で
「この部品とこの部品を今すぐ作って!しかも精巧なやつじゃなきゃダメ!」みたいな感じでした。
レコーディングの前日にできてしまい、どうしても入れたくて仕方がなかった一曲。
(本当は今回のCDは4曲入り予定でした)

歌詞に関して、自分的にはこういう意味で書いたというのはあるのですが。
「野ばら」を何に例えて聴いてもらってもいいし、
「君」が何で、「僕」が何で、「僕ら」が何であってもいいと思ってます。
間奏〜ラストのサビの畑君、いいですねぇ〜。

栗のここまでルートに徹してのエイト感。
フッキーのピアノフレーズ、タケのサビ裏のアルペジオなどなど
僕的には素敵な大人だなーと思う要素が満載です。

● M2「愛の巣」

印象として残るのはやはりヨッキーのエレピのソロじゃないでしょうか?
すごいかっこいいなぁと。

個人的にはくりのベースがライブの時もだけど、気持ちよくてお気に入りなんです。
ソロ前の「はぁーぁー」ってコーラスも好きだなぁ。

何よりも曲としての完成度が結構ガチッとしてたので
そこにこのメンバーで録れちゃうんだから間違いないでしょう。

食材の良さ&シェフの腕が作り出した一級品ではないかと自負しております。はい。
歌詞として「You & I 言えない」については突っ込まないで

趣き深いなと思って欲しいなと思ってます。
今までの曲もそうだしね。

● M3「ちぐはぐ」

曲を作った段階ではクラシックギターで弾き語りにしようかと思った曲です。

なんですが、山ちゃん(school food punishment)、レナ(ex-scope)とライブをやる機会があって
せっかくだから4人でオリジナルのアレンジもやろうとなり、
この「ちぐはぐ」のバンドバージョンが出来上がりました。

その時とはリズムの感じも、アレンジも違うんですが
ニュアンス自体はかなり残っているかなと思います。
サビのこういう転調って嫌って、あまり自分ではやらなかったんだけどいいね!

アコギだけだった所にフッキー、くりが入ってきてくれた時の気持ち良さ、安心感、
間奏の畑君のフィルなどなど僕的にはライブでの楽しみ所も多数。
千春さんの歌詞はこういう言い回しとか僕からはまず出て来ないし
この青からの脱却感は、抱いていたはがゆさというか、もどかしさというか、
その辺の感情が想い出されてとても素敵です。

● M4「whole lotta love」

いきなりあのドラムで「なぬっ?!」ってなった方、いいですねー。
僕とっても好きな曲です。

聴き所が満載過ぎて正直語り切れないです。
何度も何度も聴いて下さい。

そうするときっとフッキーのラストのclaviとか待つようになっちゃうし、
Aメロのくりのベースとか大好きになっちゃいますよ。
聴けば聴く程、楽しみな部分が出てくる曲なのでは?と思います。

ちなみにカミングアウト致しますが
タンバリン、クラップは僕がやっておりますです。
そしてCDのクレジットにあるKJM(chorus/M3)って書いてますが
この曲なのでM4です!間違えましたすみません!!!

歌詞的になんですが…何よりもあそこです。
○ ○り、○○り、….って続いていく所、
あそこにすべて込めてある感じが。

「○○り」がつく言葉がなくなって、
「○○み」に一度退避したあたりに自分のかわいらしさを感じずにはいられません。

タイトルにオールドファッションなロック的なタイトルをつける癖が僕にはあります。
「since you been gone」とかね。そういう時は気にしないで結構ですのでスルーを。

まぁ、僕的に意味はあるんだけどそれも謎のままに。

● M5「僕とサイダー」

歌い方含め、この曲ができあがってやっと新しいscope感を作っていけるかなと
確信できた一曲。

コーラスワークを完全に好きにやった一曲であり、自分ではコーラスと歌だけverを作って
大きな音で聴いたりしてます。

僕はなんと言っても山下達郎さん、そしてQUEENが好き。
という事は、コーラス入れまくり解禁にしてしまうとやはりこのくらい入っちゃいます。

全体を通した浮遊感のあるヨッキーのピアノいいですねー。素敵。

この曲の歌詞、僕は自分でいうのもアレなんですが
いいのが出来たんじゃないかなと、久しぶりに自分で自分の歌詞にヒットです。

歌い方に一番気を使った一曲で、なんとか出したいニュアンスは出せたかなと。
「野ばら」ができてなかったらアルバムタイトル「僕とサイダー」だったかも。